工学院大学の数学
工学院大学では数学は全学部学科で必須の最重要科目。
また、他の大学でも工学系や建築系、理学系大学では必須科目となっており、同時に難易度も考えた場合に、
最も時間を費やすべき科目になりやすいです。
また、試験科目も90分と、英語の70分、理科の80分と比較して長く、大学としても重要視していることがうかがえます。
分量を考えると、時間は十分に与えられているので、スピードを無理に高める必要性はありません。
大問は4つで構成されており、最初が小問集合となっています。
以下では各学科で定員の多いS日程とA日程の解説になります。
どちらの日程も試験の出題傾向は同じなので、対策も同じになります。
また、M日程では数学Ⅲを含む試験がなく、
全学部全学科で数学はⅠAⅡBから出題されます。
一部学科の試験では数Ⅲをはずすことができる
基本的には数学ⅠAⅡBⅢが試験範囲となりますが、
以下の学科では数学Ⅲが除外された、ⅠAⅡBも選択することができます。
もちろん、数学Ⅲが入った試験も選択することができます。
先進工学部(生命科学科・応用化学科・環境化学科・大学院接続型)
建築学部
S日程、A日程を含むすべての学科で適用されます。
ⅠAⅡBの独自問題は大問4だけ
4つの大問のうち、大問1~3はⅠAⅡBⅢと同じです。
言い方を変えると、ⅠAⅡBⅢの問題でも、数Ⅲから出題されるのは大問4だけ。
問題の75~80%がⅠAⅡBから出題されます。
最初は小問集合が4つ
最初の小問集合は、公式をそのまま使うような基礎問題が出題されます。
特に数Ⅱから
三角関数と指数対数は高確率で出題。
図形と方程式も頻出です。
基本的な問題ですが、グラフと絡めてくることもあり、
公式の単純暗記ではなく、本質的な理解を求めていることがうかがえます。
また、共通テスト(昔のセンター過去問)で出題されるような恒等式や不等式といった、他の大学では出題されにくい基礎計算の分野からの出題もあるので、注意が必要です。
さらに絶対値が使われる問題もおおいので、苦手な生徒もしっかり向き合うことをお勧めします。
出にくい問題もある
このあとの大問で必ず出題される微分積分は、小問集合では出題されません。
また、集合と論理、確率、データと統計は、ここ5年では全く出題がありません。
ただし、確率はさらに前には出題されています。
集合、データはそもそも出題される大学が少ないことから違和感はありませんが、
他の大学では高確率で出題される確率が出題されていないのは不思議です。
もし工学院のみを受験する場合には確率の優先順位をおとしてかまいませんが、
実際には工学院以外も受験するでしょうから、場合の数・確率の勉強は怠らないようにしましょう。
大問1が解けないと次に進めない
4つの大問で、圧倒的に大問1が簡単であり、基礎計算となっています。
そもそも大問1で4問中3問解けないようであれば基礎力不足。
まずは公式を確認し、大問1をほぼ100%解けるようになってから次の大問のことを考えましょう。
正しい先生と一緒に勉強すると、数学が苦手・自信がない生徒でも大問1はほぼ満点がとれます。
大問2,3は数Bからの出題が必須
2つの大問のどちらかは確実にベクトルか数列から出題されます。
また、年によってはどちらも出題されることがあります。
片方が数Bで、もう一方が数Ⅱの可能性が最も高いですが、
過去には数Aの整数の性質でよくある証明問題がでたこともありました。
小問集合でも出題されることがあり、他の大学でも出題頻度が高いです。
証明問題はほぼ出題されていませんが、過去に出題歴があることから0とはいえません。
優先順位は大きく落として大丈夫でしょう。
数Bも標準レベル
数列もベクトルも難易度が標準的であるぶん、バランスよく出題されています。
数列は漸化式に偏らず、基礎の等差数列や等比数列をしっかり理解していることを問うこともあります。
また、ベクトルも平面もあれば空間もあり、ベクトル方程式も出題されます。
もちろん全て典型問題なので、普通の問題集をもれなく勉強すれば、必ず見たことのある問題になります。
数B自体は数Ⅱよりもパターンがわかりやすく、取り組みやすいです。
正しく努力すれば、確実に点になります。
計算量も多くない問題が多いので、点取り問題にしましょう。
最後は微積
数Ⅲがある学科でも、数Ⅲがない学科でも、最後の問題は微積からの出題になります。
数Ⅲは微積以外いらない
数Ⅲは極限や複素数平面などもありますが、工学院対策としては微積のみで大丈夫です。
また、他の四工大でも微積の出題率は100%であることから、どの大学を受験するにしても数Ⅲの微積は確実におさえましょう。
大問2,3と同様に基礎~標準レベルの典型問題から出題されます。奇問難問はでないので、とにかくどの問題集でも載っているようなタイプを完璧に仕上げるのが第一です。
計算量は決して多くありませんが、最後の積分計算で面積を求める場合には、多少の計算量があります。
正確にできるよう、しっかり訓練しましょう。
数Ⅲがない微積は共通テストレベル
数ⅡBまでの試験も、これまでと同じようなレベルです。
そして出題も数Ⅱの微積からと決まっています。
黄色チャートと共通テストレベル(センター過去問)をしっかり勉強することで十分な力がつきます。
レベルでは共通テスト程度ですが、問題形式としてはセンター過去問が有効です。
問題集
基本的には「黄色チャート」で対応できます。
芝浦などを受験する場合は、黄色もしくは青が必要ですが、芝浦以外の四工大であれば黄色で確実に合格できます。
単純に合格点を取るだけなら白チャートでも、なんとかなります。
公式理解に関する記述がないことから、お勧めはしませんが、レベルとしては学校で配布されることが多い4STEPも使えます。
また、センター過去問や問題集も非常に有効です。
一方で共通テストとは毛色が違うことから、共通テスト系の問題集は工学院対策としてはあまり意味がありません。
特にⅠAは驚くほど合っていないので、国公立を受験しないのであれば使わないでください。
基礎公式を一通り勉強したあと、チャートなどで基礎~標準の典型問題を2周やりましょう。
その後センター過去問を10~20年分勉強しましょう。
追加で数Ⅲの微積の黄色チャートなどを一通りやれば、赤本にチャレンジする資格が十分に手に入ります。
数Ⅱと数Bがかぎ
数Ⅲはもちろん重要ですが、比率が低く、最重要なのは数ⅡBです。
特に微積と数列・ベクトルは入念な準備が必要です。
できれば高校2年の終わりまでに一通り勉強をして、センターレベルが7割くらいは解けることが理想です。
共通テストではなく、センター過去問を使ってください。
もちろん、難易度が基礎の問題もおおいので、正しい勉強法 をすれば高3から対策をしても間に合うでしょう。
まとめ
- 公式暗記は最低条件、理解まで進むのが理想
- センター過去問をうまく使おう
- 数Ⅲは微積のみでOK
保護者の方へ
工学院大学の数学は、四工大でも比較的取り組みやすく、
同時にお子さんが勉強法を間違えやすくなっています。
受験生は難しい大学や、難問を解きたがります。
特に浪人生や男子生徒ではよく見られる傾向があります。
自己分析があまり得意ではないお子さんの場合は、保護者の方がしっかりしたフォローされるか、いい先生を用意するだけで数学はもちろん、全体的な合格率が大きく高まるでしょう。
人気がある四工大だからこそ、入念な準備をしましょう。
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