日本獣医生命科学大学の数学
日獣の数学は100点満点。
日獣は試験方式の名前が微妙に変わりますが、基本的な科目や形式は同じです。
独自試験で数学があるのは、第Ⅰ期一般選抜のB方式(2026年2月の受験生:令和8年度入学者)。
さらに、第Ⅱ期の一般選抜(定員5名)になります。
2027年2月に試験を受ける、令和9年度入学者用の試験も基本は同じような形式の予定ですが、B日程とC日程が統合されて同じ日となるようです。
基本的に定員が最大のB方式が中心であり、本分析もB方式をメインターゲットに作成していますが、C方式やⅡ期でも活用できるようにしてあります。
時間は単独で60分です。
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私立獣医でも難易度が高い2校は数学に注意
日獣と麻布は私立獣医でも数学の難易度が特に高く、他の私立獣医4校より1~2段階難しいと言えます。
主な理由は、
- 高い得点率が求められること
- 公式暗記ではなく、本質的理解が必要なひねった問題が多いこと
の2つです。
裏技や暗記に頼るような数学の勉強法をしていると、合格することは非常に難しくなります。
問題自体の難易度は極端には高くないので、理解に重点を置けば満点に近い点を狙うことも十分に可能です。
一般選抜が最重要
日獣は一般選抜は複数の方式があります。。
以下は獣医学科におけるものを示しますが、定員が圧倒的に多いのは第Ⅰ期一般選抜のB方式。
獣医保険看護学科や、応用生命科学部でも同様となります。
B方式は全科目日獣の独自方式であり、前定員80名に対して42名。
英語・数学・理科(生物、化学)の3科目。
2番目に定員が多いC方式では、共通テストの数学を利用します。
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2025年は大問が4つに戻った
2021年2月の数学の試験では大問が4つでしたが、2022年は大問が5つになりました。
そして、最新の2025年2月に実施された試験は、大問が4つ。
ちなみに2025年3月に実施された試験も大問は4つでした。
時間は変わらず60分。
今後も状況によって大問数が4~5つになるでしょう。
難易度と時間を考えると、大問が6つになる可能性は非常に低いです。
全範囲の完全記述が基本
日獣は基本的に完全記述。 ただし、他の大学でも誘導ありの記述などは普通にでます。
出題形式が少し異なるからといって、勉強方法が本質的理解に基づいていれば何も気にする必要はありません。
出題範囲はまんべなく
私立獣医の中には明確に出題範囲が絞られている大学もありますが、日獣はまんべんなく出題されます。
特に数Ⅰ・Aの分野から出題されることも少なくないのが特徴です。
難易度が幅広い
難易度も様々で
2015年の大問1
2014年の大問2
など、中学生でも解けたり、高校1年の定期テストに出るような問題が出題されることもあります。
一方で2016年の大問5や2017年の大問3など、他の私立獣医ではあまりお目にかかれないような時間がかかる問題・難問が出題されていることもあります。
2025年も大問4に生物で習うベルクマンの規則と、数Ⅰのデータの分析を合わせた問題。
しかも共通テストのような文章と合わせる出題でした。
注目したいことは、単なる公式暗記では解けない問題を出してくるということです。
特に、頻出ではない分野。
根本理解に基づいた発想をもとめられることもあります。
近年は誘導にも多少の変化があり、根本理解がさらに重要となりました。
数学では場当たり的な勉強をしていると、高確率で落ちます。
この意味を、日獣の過去問をみても理解できないのであれば、何年も無駄な時間を過ごすことになりかねません。
各大問分析
各大問で重要なのが、問題の難易度をしっかりと見極めることです。
出題範囲が幅広く、難易度にも差があります。
また大問の3,4あたりに、受験生の好みがわかれる問題を配置することで時間切れや焦りを誘う構成にもなっています。
自己分析をしっかり行い、本番では解く順番をしっかり考えましょう。
必須範囲は早めに仕上げる
かつては大問5が基本的に微分積分の出題でした。
2025年は大問2になり、難易度が低めの微積でした。
共通テストに近いレベルであり、一般的な私立獣医を目指す学生にとっては簡単ではなかったかもしれませんが、きちんとした理解の数学が身についている生徒であれば簡単に満点が狙えた難易度でした。
また、大問4or3に数BCのどちらか(ベクトルor数列)から出題されやすくなります。
位置をずらしてくる年もありますが、大問でこの2種類が出ることはほぼ確定です。
この2つは他の私立獣医および国公立獣医でも必須範囲です。
しっかり時間をかけて練り上げるのはもちろん、深い理解を心掛けましょう。
大問1から大問2以降の出題がわかる
どの獣医でも数Aの場合の数・確率が出題されやすいです。
ただし、2025年は新課程になったこともあり、場合の数と確率が2月も3月も出題されませんでした。
2026年はどちらかで出題される可能性が高いでしょう。
大問1に確率が出た場合は、大問2や3では出題がほぼなくなります。
確率は正しい理解をしていると別解が最もつくりやすく、別解は時間短縮および正解率の向上が見込めます。
中学受験に使うような算数の発想があると、非常に有利で、これは平面図形でも同様の効果があります。
平面図形は麻布と日獣
私立獣医で難関の2校は数Aを中心とした図形と計量でいわゆる平面図形の問題が出題されやすくなっています。
新課程となった2025年も同様の傾向であり、2026年以降も同じ傾向が予想されます。
平面図形は一度道筋を間違えると混乱し、時間がかかりやすい構造です。
実際に日獣の平面図形は、無駄に時間を使うような出題が見て取れます。
ただ、年によっては公式を使うだけで(1)が解けることも多いので、計算力以上に見極める理解力が求められます。
正しく出題者の意図に沿うのが合格への近道ですが、そのためには公式暗記では太刀打ちできません。
他の獣医で出題されにくい平面図形でも、しっかりと理解を怠らず、正しい努力を継続できる人を日獣が欲しているというメッセージともいえるでしょう。
こちらも確率同様に、算数的考えを持っていると有利になります。
絶対値はよくでる
問題を複雑化させるために、式はシンプルでも絶対値や場合分けをからめることで、難易度を上げ、より深い理解を試してくる問題がみうけられます。
2022年2月の試験でも出題がありました。
実はこういった問題はラッキーです。
根本的理解ができていれば、丁寧な処理で簡単な問題へとすぐに変換できます。
しっかり理解することで問題の本質を見ぬくことができます。
こういった能力は現代文など複数科目を複合できると身につけやすいです。
そうすれば効率的に得意な問題に集中して点をあげることができます。
対策・勉強法
大問分析でもあったように、半分程度の問題は標準レベルであり、そこまでひねっていません。
黄チャートやニューアクションフロンティアなどの標準的な受験用問題集を何度も解くことで十分対応できます。
ですが、根本的な理解をせずにただ問題集を解いても効率が悪く、身につきません。
まずは公式をひとつひとつしっかり根本理解することからはじめましょう。
難易度の高い問題が7割越えのキーポイント
共通テスト(形式違いに注意)レベルや標準レベルを完璧にすることでほぼすべての問題に対処可能です。
しかし、中には難易度の高い問題も混ざっています。
あなたが数学で圧倒的に点を確保したい(85%以上)のであれば、青チャートなどの難しい受験用問題集にも取り組むことも一応選択肢としてはありです。
ただし、私立獣医のみを考えており、国公立の獣医学科が選択肢にないのであれば青チャートやニューアクションLEGENDはおすすめしません。
青チャートを使いこなすことが出来れば有効ですが、難易度が合っていないのに無理して使おうとしていると、非効率で逆効果です。
数学が大得意な生徒以外は標準レベル(黄チャート)で大丈夫です。
まとめ
保護者の方へ
日本獣医生命科学大学の数学は、難易度が高いです。
獣医学科志望の生徒と話をすると、候補校に上がりやすい日獣ですが、ほぼすべての生徒が難易度を正しく理解できておらず、勉強法を間違えています。
勉強に対する姿勢そのものから変えないと、合格は難しいです。
数学の公式を暗記しはじめたら、お子さんの合格は非常に難しくなったとお考え下さい。
数学の偏差値が60以下の生徒は、9割以上が勉強法を間違えています。
現在の数学の全国偏差値が60以下であれば、
最低でも1年半、
出来れば2年
は正しい勉強が必須となります。
そもそも獣医では浪人が当たり前で、2浪3浪も普通です。
正しい先生の指導を受ければ、高校3年生でも部活や青春を楽しみながら合格を目指すことは難しくありません。
保護者の方が、お子さんの状況を細かく確認して、獣医学科に興味がありそうならその道のプロに早く依頼することをおすすめします。
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