北里大学 獣医学部の化学
北里大学の理科は化学、生物、物理から1科目選択します。
配点は他の2科目と同様の100点で、時間は60分です。
獣医学科をメインターゲットとして以下の解説を行いますが、
獣医学部の他の2学科
(動物資源科学科、生物環境科学科)
と、
海洋生命科学部(海洋生命科学科)
も同じ問題であり、対象の受験生すべてに役立つような分析となっています。
他の獣医学科分析は → こちら
6つの大問のマーク式
北里大学の理科は基本的に全マーク式。
数学は一部記述がありますが、北里の入試(Amazonリンク)はマークがメインとなっています。
2016年のみ、大問が6つありましたが、2017年以降は大問は5つでした。
2020以降は大問が6つに戻りました。(2022年は1期も3期も大問が5つ)
時間がそこまで厳しくないことと、大問5,6の分量が少ないことにより、大問数が多少変化しても対策はほとんど変わりません。
他の科目でもそうですが、北里の獣医学部や海洋生命学部では試験問題のマイナーチェンジが近年よく見られます。
本質的な実力を身に着けていれば、目先の出題傾向の変化はむしろ有利になります。
正しい勉強を継続できる環境が重要となります。
後期は出題傾向がことなる
後期(3期)は、前期と基本的に難易度はほとんど変わりません。
すべき対策を最後に示しますが、前期と同じ対策で十分であり、北里の後期に向けて特別なことは不要です。
求められる知識や学力は同じですが、出し方が異なります。
何度も繰り返し解く必要はありませんが、事前に1,2回は問題を見ておくといいでしょう。
最初の大問は全問正解を目指せ
大問1は、知識問題。
レベルは基礎的ですべて取り組みやすくなっており、共通テスト(センター過去問)の大問1に近くなっています。
内容の半分以上が化学基礎からの出題であり、それぞれが独立した小問集合。
基本は6択となっていますが、問題によって微妙に異なります。
幅広い範囲の基礎知識
メインは理論化学であり、原子分子の性質など、化学基礎の最初にならう範囲からの出題から始まります。
無機化学などからも出題され、小問の最後は有機化学(Amazonリンク)の知識問題の頻度が高くなっています。
難易度はすべて基本的であり、共通テストとセンター過去問(Amazon リンク)を20年分解けば、すべて経験したことがあるような問題になるでしょう。
難易度は基礎レベル。
獣医学科を狙うのであれば、ここは満点か、せいぜい1問ミスにしておきたいところです。
大問2は計算の小問集合
大問1では知識問題でしたが、大問2もしくは大問3ですべて計算問題の小問集合となるのが、北里大学の大きな特徴です。
問題数は年によって大きく異なりますが、難易度は基礎~標準レベルの問題ばかり。
ひとつひとつの問題が独立しており、出題形式から見ても、複雑な問題を出さない前提であることがわかります。
取り組みやすいので、理系にすすむのですから、全問正解したいところです。
大問1と同様に全問正解を目指しましょう。
大問1,2合わせてのミスは2問以下を目指しましょう。
化学の計算は非常に取り組みやすい
化学の計算問題は標準レベルでも苦手意識が強い生徒はよく見られます。
確実に勉強方法が悪いです。
化学は論理的に正しく式の構成を考えれば、計算自体は中学レベル。
化学の計算問題(Amazonリンク)で苦戦しているようでは、数学はそもそも無理です。
私の生徒でもそうですが、化学の計算は本当に簡単に上達します。
化学の計算に困っている生徒はすぐに私に問い合わせてください。
分野は絞ってはいけない
電池、電気分解、熱化学、有機化学(分子量など)、溶解度などはよく問われているように思えますが、実際には幅広く出題されているので、決め打ちでの勉強は危険です。
どの私立獣医(国立獣医でも同様)でも、結局全範囲の学習が必要になります。
メインは理論化学
のこりの3つの大問は、
理論、無機、有機化学から1つずつの出題か、
理論1つ、有機2つというパターンが多いです。
大問1,2と比較すると、大問3以降は、問題数が少なく、じっくりと考える時間が必要なのがわかります。
全体を通して考えると、
理論化学:無機化学:有機化学の比率は
4~5 : 2 : 3~4
くらいのイメージです。
まんべんなくだが、取り組みやすい
気体、化学平衡、酸化還元といった、難易度を高くしやすく、苦手な受験生も多い、
いわゆる難しい分野からの出題は極端に少なくなっています。
理論化学はまんべんなく勉強してほしいところですが、
時間が限られている、などの事情がある場合には、上記範囲は後回しにするのも一つの手段です。
一方で溶解度や熱化学、無機化学と理論化学の複合分野は出題頻度が高いです。
有機化学比率は高い
最後の大問は基本的に有機化学。
(後期(3期)ではその限りではない)
しかし、獣医学科をはじめとした生命科学系に有機化学は重要。
2021以降では後半の2つの大問が有機化学となりやすいです。
糖や重合も忘れずに
有機化学では炭化水素鎖や芳香族の難易度が高いので、そのあたり+油脂を中心に勉強しがちです。
実際に、一般的な化学の勉強としては、正しいといえます。
北里大学では、重合や糖、イオン交換膜など、理解よりも暗記の重要性が高い分野からの出題も少なくありません。
対策・勉強法
北里はとにかく王道の勉強法で、典型的な問題を中心にすすめていくことが重要です。
全体的に標準レベルが中心で、基礎レベルも少なくありません。
一方で応用レベルはほぼありません。
一つ一つの事象に対して、理解の4段階を使いながら、理解に基づいた暗記を行いましょう。
化学基礎の理解度が合否をわける
最初の2つの大問で化学基礎の問題が一定量確実に出題されます。
化学基礎は出来れば高校1年の間、遅くとも高2の夏終わりまでに完璧にしましょう。
浪人生は、ゴールデンウイークまでに化学基礎マスターになりましょう。
参考書
岡野の化学(Amazon リンク)
宇宙一わかりやすい高校化学(Amazonリンク)
ゼロから劇的にわかる(Amazon リンク)
などの、基本レベルからしっかりと解説してくれる参考書がおすすめです。
実際に書店に行き、自分がわかりやすいものを中身を見ながら選ぶのがいいでしょう。
合格のためには、5回(できれば10回)以上読むことになります。
問題集
セミナー化学(Amazonリンク)
リードシリーズ(Amazon リンク)
チャート式 新化学(Amazonリンク)
などの学校でつかうレベルの問題集が傾向に合っていて適切です。
学校準拠の問題集は基礎~標準の典型問題が数多く収録されているので、
典型問題が多い北里対策にはうってつけといえます。
また、共通テストレベルもちょうどいいので、過去問や問題集を有効に使いましょう。
現役生であれば、夏休み~9月くらいにかけて、共通テスト・センター過去問(Amazonリンク)を10回分くらいは解きましょう。
国公立も視野に入れている生徒は、20回分は解いてください。
共通テストレベルで7割程度とれれば、赤本を1度解く資格があるといえます。
秋以降の勉強法
赤本と、上記の問題集を中心に演習を重ねましょう。
上記の問題集の演習量が足りていないのであれば、仮に冬が近くても、難しい問題集は使ってはいけません。
標準レベルは受験の直前まで使いましょう。
標準問題精講(Amazonリンク)
や
重要問題集(Amazonリンク)
まで解くことができれば理想的ですが、北里の問題からすると、難易度が高すぎる問題が多いので、基本的には買う必要はありません。
まとめ
- 基礎~標準の典型問題で合格できる
- 計算は簡単と思えるレベルになろう
- 無機化学の暗記も忘れずに
保護者の方へ
北里の獣医は、化学のみならず、全体的に標準レベルで入試問題が構成されています。
難しい問題ばかりにチャレンジするのではなく、お子さんのレベルに合った勉強を継続的に行うことが、全科目で必要です。
特に化学は暗記と理解と演習のバランスが重要になります。
数学などと合わせて勉強をすすめるためにも、複数科目を指導できる先生がおすすめです。
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