大阪公立大学の数学
かつての大阪府立大学は、大阪市立大学と合併して大阪公立大学に変わりました。
2022年2~3月が大阪公立大学としての最初の入試でした。
2025年現在で4年分の過去問が揃い、傾向が明白となりました。
理系数学では大阪市立大学時代の傾向を多少なりとも受け継いでいます。
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理系数学は複数学部で問題が同じ
現代システム科学域(一部)
理学部
工学部
農学部
獣医学部
医学部医学科
上記学部や学域で共通の問題となっています。
数学には
文系数学(数Ⅲがない)
理系数学(数Ⅲあり)
の2種類があります。
数Bはどちらも数列のみ。
統計的な推測は範囲外となります。
ただし、文系の生徒は共通テストでは統計的な推測を選ぶ必要がある生徒は多いでしょう。
数Cは文系数学はベクトルのみ。
理系数学はベクトル、平面上の曲線と複素数平面となります。
時間的には厳しくない
試験時間は120分。
大問は4つ。
難易度が高いので大問1つあたりにかかる時間は長いですが、全てを解く必要性がないので時間的には問題ないでしょう。
早く解くよりも、解けそうな問題は時間をかけてでも解ききる力の方がはるかに重要です。
また、数Ⅲなどの複雑な計算に対する正確性も合否を分けるポイントとなります。
何点とるべきか?を事前に見極めておく
大阪公立大学の数学はしっかりした難易度があると同時に、学部・学域で目指すべき点数が結構ことなります。
例えば獣医学部
以前は大阪府立大学の獣医学類という分類でしたが、2次試験は60~65(~70)%が目標目安でした。
現在の大阪公立大学になり、数学が難しくなったことも影響して、目標は50~60%くらいに変化しています(年や生徒の学力状況、共通テストの点数で大幅に変わります)
獣医学部、獣医学科でよくあるそこそこ難しい問題で平均点を高くするタイプではなくなりました。
問題が難しい分、全てを解く前提ではありません。
工学部や理学部でも2次試験は50%以下どころか40~45%程度で合格することも多く、目指す学部で数学の勉強方法も変わります。
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大問1は小問集合の可能性が高い
大問1では3つの小問集合で出題されやすいです。
ただし、小問集合が存在せず大問1~4のすべてで大問タイプの年もありました。
基本は小問集合と考えつつも、どちらでも対処できる準備が必要です。
大問の時は場合の数・確率からの出題でした。
比較的極限の出題頻度が高い
年にもよりますが、3つの小問集合の場合は、2つ数Ⅲの極限から出題されることが多いです。
そして、残りの1つは数Ⅲの微分を活用した不等式の証明が多いです。
基本的には単純な計算問題ではなく、証明があったり数列と複合させたりと高い難易度があります。
はさみうちの原理や単調増加(減少)を利用することも多いので、極限の勉強には時間をかける必要があります。
極限は無理をしないのも一つの方法
自分の学力と併願校の傾向にもよりますが、極限が重要でない理系数学を出題する大学は多いです。
また、医学科以外は点を取るべき大問をある程度事前に選別できるので、大問1の2/3くらい出題されそうな極限は最優先ではありません。
特に、はさみうちはパターンがいくつかあり、苦手な生徒も多いのが実情。
大問としてほぼ確実に出題される微積を優先し、極限の優先順位を下げても戦略自体が正しければ合格点は普通に確保できるでしょう。
数列のΣ(シグマ)に対する理解度を深めておこう
数Bの数列だけでなく、数Ⅲの極限などでも頻出のΣ。
なんとなく使っている生徒が散見され、数学に対する本質的な理解度が試されます。
大阪公立大学ではほぼ毎年出題されるので、基本的な公式や記号に対する理解はΣでも、他の分野でも必須です。
確実ではないが出題率は高いBとC
数Bの数列、数Cのベクトル・平面上の曲線と複素数平面は点数を取りやすい生徒が多いかもしれません。
ただし、点数をしっかり取っていくのはなかなか大変です。
確実ではありませんが、
A:場合の数と確率
A:数学と人間の活動(整数の性質)
B:数列
C:ベクトル
C:複素数平面
の5つの分野から1つの大問が出題される可能性が高いといえるでしょう。
中でもベクトルと複素数平面は出題率が高く、平面上の曲線は今のところ出題がありません。
ベクトルは空間
数列は数Ⅲなどとの複合が多いですが、ベクトルは単独で出題されやすいです。
共通テスト対策でも基礎~標準を勉強しているので時間も確保しやすく、大阪公立大学の問題でも解きやすい傾向にあります
基本的に空間ベクトルで出題されますが、平面ベクトルが理解できている前提となっています。
数列は漸化式に寄りすぎない
数列は微分や数Ⅱ、確率などと組み合わせやすく、実際に大阪公立大学でもそういった出題がありました。
また、読解力なども一定は必要となっています。
前述したΣや確率漸化式などはわかりやすく出題されやすいです。
数列は漸化式など難しい問題に目がいきやすいですが、最初の等差数列や等比数列など基礎をしっかりと固めなければいけません。
帰納法も忘れずに
数学的帰納法は一定以上の難易度がある大学ではどこでも必須です。
大阪公立大学で証明が頻出というわけではありませんが、ある程度は理解しておきましょう。
今後も時々問われる可能性は高いといえます。
漸化式は理解を優先
難しい単元になると、難しいパターンを覚えようと必死になる生徒がいます。
これは公式を暗記しようとする生徒と同じです。
公式は理解することを第一としなければ大阪公立大学では絶対に通用しません。
特に共通テストでも必須の数列は、ベクトル以上に本質的な公式の意味を理解していない生徒が見られます。
数列でも、漸化式の複雑なパターンを覚えるのではなく、基本的な漸化式の意味を理解し、理解した上で利用することを優先しましょう。
テクニックではなく、本質的理解が重要です。
複素数平面は勉強時間を確保しないと厳しい
複素数平面は平面上の曲線と同じ単元であり、数Cの最後にあります。
中高一貫校は数学のペースが速いですが、高校受験をした生徒は大学受験に向けた数学の勉強速度が遅くなりがち。
微積の重要性が高いので、複素数平面は勉強する時間がなくなりやすいです。
共通テスト対策もあるので、現役生は日々の計画が最も重要となるでしょう。
複素数平面も難易度が高い
他の分野と同様に、複素数平面も高難易度。
意外と回転運動ばかりでなく、平面であることと実部と虚部を分解して計算する手法が使いやすいシーンもあります。
複素数平面といえばドモアブルが最重要であることは変わりませんが、図形的な意味とドモアブル以外の計算もおさえておく必要があります。
時間をかけて学習すれば点数にしやすい面もあるので、日々の準備と自分の得意不得意に合わせて計画を立てておきましょう。
数Ⅲは微積
4つの大問のうち、ほぼ確実に1つは数Ⅲの微積が中心となります。
年によっては大問2つ分出題されることもあります。
しっかりとした理解と計算力が必須であり、典型問題をベースにしつつもひねっているので応用・発展レベルの対策が必須です。
必須なので時間をかけて勉強したい
数Ⅲの微分・積分は数Ⅱまでの学習を基礎として成り立っています。
共通テスト対策で数Ⅱの微積や三角関数、指数対数関数などを勉強しました。
数Ⅰの2次関数も使えます。
これまでの蓄積があればあるほど有利になるので、中学3年生や高校1年生から真面目に積み上げてきた生徒は点数をある程度とりたい大問といえます。
また、確実に出題されるといえるので、範囲は広いですが時間をかけて対策する価値があるでしょう。
難易度以外の傾向は基本的にないので、正面から理解を積み上げていくしかないでしょう。
まとめ
保護者の方へ
大阪公立大学の理系数学は、公立大学ではトップクラスの高難易度。
国立大学の中でも平均以上の難しさがあるといえるでしょう。
それは、医学部や獣医学部などの合格最低点にも表れています。
一方で、全ての大問で点数を取る必要はなく、共通テスト対策などで得意とわかっている分野で集中して点数をとることもできます。
早めの準備と適切な分析、お子さんに合った勉強方法があれば合格点は十分にとれます。
難しいとわかっているからこそ、早め早めに保護者が動き出す必要があります。
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