酪農学園大学の数学
酪農学園大学における入試は、2020年1月から数学と英語で共通テストを利用し、学校の独自試験を廃止していました。
2025年1月から酪農学園大学独自問題の数学と英語が入る試験方式が復活しました。
以下の分析では、最新の2025年2月に行われた入試問題と、2020年以前に行われていた入試問題の両方を使用しています。
(主に2017~2020年と2025年ですが、さらに前の問題も参考にしています)
当方のオンライン授業ではかつて数学と英語で独自試験があったときからの分析を活かした授業を行います。
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小問集合が意外と難しい
酪農学園大学の数学は、難易度の判定が難しいのが特徴です。
といっても総合的に判断すると偏差値相当であり、私立獣医の数学としては難易度は高くはありません。
一般的には大問1が簡単で、だんだん難しくなっていく構成になります。
酪農学園大学も基本的には同じで、大問2,3が難しく、大問1が解きやすいと感じる生徒がほとんどでしょう。
ただし、注意が必要な点として、大問1が計算の小問なのに工夫された問題がときどき混ざっています。
多くは単純な計算問題であり、公式をそのまま使えば解けてしまう問題も含まれています。
あっさり解けてしまう問題が多いですが、苦戦する問題もあるので時間配分や心理的な部分での難しさがあるといえるでしょう。
小問は全範囲から出題
出題としては新課程となりⅠAⅡBCから出題となりました。
若干不明点が残るが、基本的に全範囲を勉強しよう
大問2でBとCの選択ができる形式が2025年には導入されましたが、2020年以前は全生徒が同じ問題を解く必要がありました。
この選択式は、公式には2026年度入試(2025年2月)までと記載があるので、次回(2026年2月)の入試では選択できなくなる可能性があります。
数Bと数Cは現時点では細かい範囲の指定がないので、数Cはベクトルは必須でしょうが、平面上の曲線と複素数平面が必要か不要かは不明となっています。
傾向を見れば出題されやすい分野がわかる
過去も含めて傾向分析をすると、出題頻度の高い分野と低い分野がわかれており、対策はしやすくなっています。
小問集合の出題範囲は、
Ⅰでは、2次関数、集合と論理、恒等式多項式
Aでは、場合の数・確率と平面図形
Ⅱでは、全般
BCでは、数列、ベクトル
となっています。
特にⅡBCの重要性は明らかであり、Aは範囲が絞りやすくなっています。
例年の傾向からすると
Ⅰから1問
Aから1~2問前後(場合の数と確率が最頻出)
Ⅱから2~3問前後(微積が1問と指数対数or三角関数から1問が最も多いパターン)
BCから1~2問(数列orベクトルもしくは両方)
が一番ありそうな出題となっています。
これらの頻出範囲は、他の私立獣医でも頻出の分野なので、酪農学園大学だけの対策で終わりません。
私立獣医をはじめ、他の学部の大学でもよく出題されており、酪農以外の大学を受験する生徒にも無駄の少ない勉強がしやすくなっています。
酪農学園の小問における特徴
酪農学園における計算問題の工夫に関してみていきましょう。
具体例をあげてみると、
確率では、一見大きな数が出てきて計算が大変そうですが、簡略化することで非常に簡単になります。
不等式計算などで絶対値を出し、計算を複雑化するのもよく出題されています。
指数対数関数でも、細かい式変形が要求されることで計算ミスや複雑化を狙ってきています。
他の獣医大学での小問は、考え方における工夫によって難しくしてきています。
つまり式を立てるまでが難しいというのが一般的な難易度のあげ方です。
式はあるけど、計算自体での難易度が高いのが酪農学園です。
大問の片方は誘導つきが多い
大問は基本的に2つ。
片方(大問2)は完全に記述ですが、もう片方(大問3)は誘導付きの穴埋め形式になっています。
(ただし2019年などの試験は穴埋めが大問2だった)
これは、過去もそうでしたし、最新の2025年2月の問題もそうでした。
2つか3つの分野での複合問題が多く、ほとんどが数BCと数Ⅱの微積がメインとなっています。
そこに三角関数や対数関数、平面図形などが絡んできます。
ただし、2025年の大問2は数Bの統計的と数Cのベクトルから好きな方を1つ選択することができました。
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大問2の方が記述になりやすい
大問2は完全記述ではありますが、実際の難易度は最も簡単になっています。
微積かBCがメインになるので、その範囲の複合問題は特に確認をしておく必要があります。
ただし、大問2では非常に典型的でどの問題集でもみるような複合問題が軸となっており、解答の流れを作りやすくなっています。
個人的には取り組みやすい大問2から解答していくといいかと思います。
2025年の大問2で選択者が多かったであろうベクトルも、同様の傾向でした。
典型問題であり、ちゃんとした勉強を継続してきた生徒にとっては点が取りやすかったはずです。
大問3は誘導式
誘導付きの大問は、最初に与えられている式が複雑で、見た目が難しく作られています。
見た目の難しさや、見たことがない問題に惑わされる生徒は非常に多いです。
しかし、難しそうで、説明が多いということは、単純にヒントが多いということです。
素直に問題の言うとおりに計算を進めていけばある程度まではたどり着きやすいです。
逆に、過去問や複合問題、問題に多くのことが書いてある問題が、難しくみえている生徒もいるでしょう。
典型問題の復習が足りておらず、そもそもさらに手前の根本理解が不十分な可能性が大きいです。
微積と数BCの復習をいまいちど徹底しましょう。
ちなみに必ず微積BCから出題されるわけではなく、三角関数から出題されたこともあります。
かなり前ですが、因数定理と図形を中心にし、最後だけ微分というときもありました。
基本的には大問3はほとんどの受験生が苦戦することになります。
私の生徒でもそうですが、一定以上の数学力があれば意外と大問3は完答しやすく、他の受験生に差をつけるための美味しい問題ということを理解しておきましょう。
対策・勉強法
必要な対策としては、
- 計算部分での例題が多く、様々なパターンを網羅していること
- 計算以外の部分では典型問題が多く、難易度が高すぎる問題が少ないこと
- 大問2,3対策として、複数の分野が混ざった典型問題があること
の3つの要素が必要です。
問題集としては、他の大学同様に、黄チャート(Amazonリンク)やセンターレベルの問題集が基本になります。
(ⅠAは共通テストだと傾向が違うのでセンターが適切)
チャートだけでなく、センターレベルは誘導付きの練習にもなると同時に、典型問題にはセンタータイプの問題が有効です。
ただし、現実的には共通テスト形式の問題集(Amazonリンク)などが手に入れやすく使いやすいでしょう。
問題集の序盤に出てくるような計算問題は、他の大学を目指す生徒よりも念入りに、何度も復習するのが何よりの対策になります。
もちろん、可能であれば本質理解まで行うのがベストです。
さらに大問1対策として、様々な大学入試の小問集合(計算問題)がまとまったものがいいでしょう。
私の生徒には、生徒のレベルに合わせて、様々な大学の入試問題を実際に解くようにさせています。
問題集では出題頻度が低いような、変わった計算も網羅しておくと安心です。
まとめ
保護者の方へ
形式の変更や出題傾向の違いで困る生徒と困らない生徒がいます。
2025年から独自試験の数学と英語が復活した酪農学園大学対策は、お子さんだけで行うには難しい可能性が極めて高いです。
現実的には酪農学園大学と同時に、他の私立獣医の対策を並行して行いたいはずです。
獣医受験に精通している先生がいるかどうかで、全く違います。
また、科目ごとが学校ごとの違いで失敗する生徒がいますが、本当に合格できる学力を身につけるのであれば英数理の全てを一人の先生に教わった方が確実にいいです。
共通テストの失敗で今後も入試に細かい変更が行われますが、正しい勉強をしていれば形式変更を有利に利用できます。
一方で、間違った場当たり的な勉強をすれば、ちょっとした変化が不合格につながるでしょう。
(ほかのお仕事もそうですが、)獣医師は一生勉強が必要です。
獣医学科(獣医学類)の受験勉強を利用して一生つかえる勉強法を身に着けるチャンスを与えるのは、保護者の方です。
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